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 1月22日

 ある便利屋の先輩に電話してみた。コロナ禍でどうしているだろうと。

さすが便利屋7,8年歴の先輩だった。今まで通りそんなに変わらないらしい。 

 僕らの師匠であるの右近さんは「便利屋っていうのはどんな状況下でも必要とされる。」と

いってたけど、それが今納得できるという。

「コロナ禍ならコロナ禍の需要があるらしい。例えば消毒作業とか・・・。今仕事少ないっちゃ少ない

けど、毎年1月、2月はそんなにないからね。また3月、4月になれば引っ越しとかで忙しくなるよ。ない

時はないなりに、じたばたせずに運を天に任せるというか・・・。」

とアドバイスいただいた。

この余裕すごいなあと思う。貴重な先輩。仕事仲間。たまに相談に乗ってもらってます。

 
 今日はご近所のWさんの土地の植木の剪定作業二回目。

伸びた木の枝を屋根くらいの高さに切ってほしいとのこと。

しかしこの裏の建物は老朽化していて屋根に乗ったり枝を落としたりすると簡単に穴が開いてしまうそ

うだ。しかもこの屋根の資材はもうないらしいく、部分修復不可能。絶対に落とせられません!


木は全部で5本あり、前回やった右側2本は比較的まっすぐ上に伸びていたので楽だったが、

今回の木は屋根に覆いかぶさるようになっている。それを屋根に落とさず、自分も屋

根に足をかけることなく木に登ったままでどうやって切り落とすかが今回の問題、難所である。

 
 また登っていくと結構な高さである。5,6メートルはあろうか・・・。

しかも上の方に行くと幹から枝になっていて、細くなる。かろうじて足をかけられる枝又はあるのだ

が、そこでノコギリで切る時は片手で切って片手で捕まってられるが、太い枝の時はチェンソー出動

で、両手を使うので足だけでバランスを取らなければならない。ぐらぐら揺れて時折自分でもどうかな

ってしまうかもしれないとたまに頭をよぎったが今回は安全ベルトも準備しておいたので心強い。


 作戦としては、なるべく先端の方まで登り、まだ枝が短い所、自分が片手で抱えられるくらいの長さ

でノコギリでどんどん切っていくことにした。

 切る時は最後数センチ残す。そうすれば、まだ切りきる前のその間に切る構えから抱える構

えに替えられるからである。そうして構えができたら手でへし折り、ちぎって、抱えられるし、万が一

枝が倒れても落っこちないでくっついているようにするためである。これなら屋根に落とす心配はな

い。上の方からどんどん切っていく。

 そのうち太い所が出てくる。そこはやはりチェンソーを使いロープをかけて下にいる父に引っ張って

もらうことにした。

長さ1,2メートル、直径17,8センチくらいははあろうか。これでも結構重い。

チェンソーが

「ブワン、ブアン!」

勢いよく幹に切り込んでいく。

「いくよー!」

「ロープ張って!」

倒れた時は一応こっち来るだろうと予想はしているのだが、けっしてその通りいくとは限らない。

緊張が走る。

「このくらいか。」

三分の一くらい残したところでチェンソーを止めて揺らしてみる。まだびくともしない。

今度はノコギリで少しずつ切っていく。

そのうち天に突っ立っている幹がかすかに揺れ出す。

「このくらいか。よーし!」

ノコギリをサヤに戻し、

「いくよー!」と掛け声をかける。

そして幹を両手で力いっぱい押し倒す。

「ミシミシ!」という音とともに勢いよく倒れ落ちる。

そこでロープが張られ、ゆっくりと地上に下がっていく。

1,2時間して休憩の時、一度下に降りたが、足がプルプル震えていた。

高所での緊張、バランス保持などで脚力は相当使うのだろう。

 
 父が補助してくれ、Wさんは下に落ちた木を細かくして軽トラに積み、処分までしてくれた。

皆さん手際が良くあれよあれよと進み、半日で作業を終えることができた。
 
 見てくれも何も考えずに切ってしまったが、

Wさんは「十分!十分!少しは残しておかないと。伸びたらまた頼めるだろ。」

と言って喜んでくれた。


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