1月13日

 このところお寺に通いだしてから、植木屋関連のお仕事が続いている。
この便利屋という仕事は不思議なものだ。
人との出会いによって仕事が生まれ、私自身、日々いろいろなものに挑戦させていただき、感謝されるのはこの上もない充実感である。

 道すがら通る植木にだいぶ見る目が変わってきた。
「この植木はきちんと手入れされているな。」とか
「これはほったらかしだな。」レベルだが。
今まで見向きもしなかったものが・・・
ついつい剪定具合を見てしまう。
名前も、マキ、ツゲ、サツキ、ツツジ、モミジ、ツバキ、サザンカとだんだんと覚えてきた。
この世界も奥が深そうで面白そうだ。

 今日は鎌倉のTさん宅のお庭のお手入れ。
 Tさんは植木、草花がお好きな方で、イチゴなど先生からいただいた苗を何年も育てている。
植木はどれも大きくはないが、ほとんどが頂き物らしく、Tさんはそうやってプレゼントした方の心も大切にされる方だ。
 庭はL字型に作られていて、
 だいぶ手入れが滞っていたのか、芝生がだいぶ伸びている。
 その一角に1.5平方メートルくらいの敷地にヨシが生えている。これを根っこからとってほしいとのこと。
 さっそくヨシをとる。剣スコップいっぱい地中に入れ、芝ごと掘り起こす。でもなかなか、芝がしっかり生えていてスコップか刺さらない。跳ね返ってしまうほどだ。
少しずつスコップの先で芝を切りながらグイグイっと入れ込む。
25センチくらい入れたところで掘り起こす。
これまた芝が絡んでいて、起こせられない。
こんどはスコップを抜いて、掘り起こせそうな周りの芝を切っていく。
再び、先ほど入れたスコップのさし口に差し込み、起こす。
すると、ブチブチと芝、ヨシの根が切れる音とともに土が現れる。
「うひゃー!」
ヨシの根とドクダミの根が四方八方に入り組んでいる。その量に驚く。
ドクダミの葉なんてないのに、ヨシの根だって地上に生えている本体の量の倍くらいありそう。
当初、ヨシの葉だけ取ればいいなんて思っていたが、結局根は地中に張り巡らされており、
その界隈すべて掘り起こすことになった。
掘り起こすのは大変だが、根を取るのはブチブチ取れて快感である。
全部取るのに半日かかった。

 一方助手の母は草花に詳しいのと話好きなのと女性同士話しやすいのとでTさんとよく話し込んでいる。

「今までこんなに詳しく説明しもらったことないわ!」
「あと専門家にお任せするわ。」
と言ってくれた。
植木屋のプロと、プロでなくても好きでやっている人とでは違う。
仕事なので金額や、効率は大事だが、
プロになってしまうといつの間にか、そちらの方に気持ちが盗られて行ってしまうように思う。
度が過ぎると、一見外見はきれいに整っていても、なかの枝はぐちゃぐちゃで風通しも悪く、なんの手入れもされていないなんてことがおきてしまう。
本当にその木が元気に気持ちよく育っているか?
形だけ整っていればいい。
花が咲けばいい。
ほんとにそれでいいのだろうか?
好きならばその木の気持ちになれるだろう。
必要な手入れが分かるのだろう。
母にはこういう仕事の時は手伝ってもらているが、
この好きを活かしてもらっているので、こちらも感謝の限りである。
Tさんには喜んで頂き
「また春もお願いします。」と言っていただいた。